リスニングが苦手で聞き取れません。
何か良い勉強方法はありませんか?
そんな方にとっておきの方法を紹介します!
この記事でわかること
- リスニングの効果的な勉強法
- ディクテーションの効果
- ディクテーションの実践方法
こんにちは、けんてぃーです。
現在大学で英語を教えています。
大学院で英語教育について勉強し、修士号を持っています。
言語習得の知識を活かし、これまでに10言語を学んだ経験があります。
結論
リスニングではとにかくディクテーションがおすすめ
理論編
ディクテーションとは、聞こえない音を聞こえるようにする練習です。
リスニングのプロセスには、
- 音が聞き取れる
- 聞き取れた音から「意味」がわかる
- 意味を繋げて話の全体像、つまりメッセージを理解する
があります。
簡単に説明します。
ステップ1 音が聞き取れる
音が聞き取れるとは、そのまま音声を正確に聞き取ることができるという意味です。
例えば、誰かがあなたに向かって、“I have a dog.” と言った場合に、”I have a pot.” でも “I have a tod.” でもなく、ちゃんと “I have a dog.”と聞こえるということです。
ステップ2 意味がわかる
そして、聞き取れた音から意味がわかるというのは、“I have a dog.”と聞き取れたとして、これを「私は猫を飼っています」でも「私は犬が欲しい。」でもなく、正確に「私は犬を飼っています。」と解釈できるという意味です。
ステップ3 メッセージを理解する
最後のステップは「メッセージ全体を理解する」ですが、このためには今まで聞いていた内容を一時的に記憶している必要があります。
例えば、”I went to the mall the other day to buy a new collar because, you know, I have a dog. (この間、モールに新しい首輪を買いに行ったの、ほら私犬飼ってるでしょ。) “ と誰かが言ったとして、あなたは全ての音も正確に聞き取ることができ、意味もわかったとします。
ですが、そのあとその相手が “But I couldn’t find the color I want!” と言ったとします。
そして、あまり現実的ではありませんが、前に相手が言った内容をあなたは忘れたとします。
その場合、“But I couldn’t find the color I want!”(欲しい色が見つからなかったの!)と言われてもあなたは何の話なのかわかりません。
直前に聞いた内容を覚えておくという能力は、人間にはある程度備わっています。
みなさんが問題なく誰かと会話ができ、ドラマを見ても前回の話をある程度覚えているから最新話を楽しめたり、映画や小説も序盤の伏線を覚えていられるからクライマックスが楽しめたりできるわけです。
ですが、英語などの外国語のリスニングとなると、この能力が著しく落ちてしまいます。
それはなぜかと言うと、その前段階の「音を正確に聞き取る」と「意味を理解する」で頭が一杯一杯になってしまうからです。
最初の2つのステップが無意識にほぼ自動的にできる上級者は、話の内容つまりメッセージにだけ集中すれば良いのですが、初級・中級者の人で、まだ音が正確に聞き取れなかったり、聞き取れても意味がわからなかったりすることで話について行けなくなってしまいます。
つまり、リスニングが苦手な人というのは以下の状況に陥ってしまうということになります。
リスニングが苦手な人の特徴
- 音が聞き取れない
- 音が聞き取れないから、意味がわからない
- 意味がわからないから話を追えない
このことから、最初の「音を正確に聞き取る」ということがまずは重要ということがお分かりいただけると思います。
そして音を正確に聞き取るのに優れた方法がディクテーションです。
以下で具体的な方法を紹介します。
実践編
用意するもの
ディクテーションに使用するものは少なくとも以下の条件を満たすものをおすすめします。
- スクリプトのあるもの・教材
- 目標・レベルが合うもの
ディクテーションに使用する最もおすすめの教材はあなたが既に持っている教材です。
例えば、TOEICや英検などの資格試験に向けて勉強をされているならその教材でバッチリです。
こういった教材は通常、解答・解説のページにスクリプト(台本)がついているはずです。
また、受験を考えているということでレベルは比較的合っていると想定します。
特に教材を使用していないという人には以下のものがおすすめです。
- VOA (Voice of America)
- BBC 6 minutes English
- TED Talks
上記のどのサイトでもスクリプトは提供されています。
難易度はVOAとBBCはあまり変わりませんが、TED Talksは少し難易度が上がります。
もう一つディクテーションをするのにおすすめのサイトはSpeechlingです。
このサイトでは、ディクテーション専用ページがあり、ディクテーションして採点をするという作業をサイト上で全て行ってくれます。
ですので自分で音声をCDから取り込んだり、ダウンロードしたり、といった手間が省けます。しかも無料です。
短文のディクテーションをひたすら行う場合は非常に優れたサービスだと思います。
手順
ではここから具体的にどのように行うかを説明していきます。
1.音声を聞き、聞き取れたものをひたすら文字に起こしていく
これがまさにディクテーションです。
音声を流し、聞こえたものをどんどん書いていきましょう。
2. 何度聞いてもOK
音声は何度聞いても大丈夫です。
何回も聞いて聞き取れたものを書き足していきます。
3. 文が長い場合は節で区切るのもOK
音声によっては長いものも多いと思います。
基本的には1センテンスごとで区切るか、1センテンスでは長い場合は意味のまとまりで区切っても良いです。
意味のまとまりとは例えば、”I wasn’t expecting to see you because I heard you would be out of town this week.” という英文なら、
- I wasn’t expecting to see you
- because I heard you would be out of town this week
というように区切ることができます。
あくまで例ですので、区切る位置はそこまで厳密に決めなくても良いと思います。
それから、ディクテーションはあくまで聞き取りの練習であって、できるだけ長い文を脳内に保持しておく練習ではありませんので、自由に区切って良い、というのが僕のスタンスです。
4. これ以上聞いてもわからないというところで答えを見る
もうこれ以上聞いてもわからない、書き足せない、というところまできたらスクリプトを見ましょう。
そして、必ず赤で直して自分がわからなかった部分を修正し目立つようにしてください。
ディクテーションでは自分がわからなかった部分を素直に認めることが大切です。
5. 赤で直したスクリプトを「確かにそう言ってるな」と納得できるまで繰り返し聞く
最後のステップですが、これが最も重要です。
赤で修正した部分に全神経を集中しながら、音声をまた聞きましょう。
これはあなたの頭に変革を起こす作業です。
正しく聞き取れないということは、あなたの頭の中にある「これだ」と思っている音声と実際の音声(あるいはネイティブの発音)に差があるということです。
その差を埋めていくのに必要な作業がこれです。
間違えのレベルにもよりますが、間違えたところは少なくとも10回は聞き直しましょう。
納得いくまで繰り返し聞いてください。
ちなみにシャドーイングを取り入れたい場合は、このタイミングで行うのが効果的です。
シャドーイングについては以下の記事で紹介しています。
あると便利なツール
では最後にディクテーションをする上で役立つツールを紹介します。
Audipo
音声を再生するアプリです。
スピードを変えられたり、決めた区間だけ何度もリピートしたりといった機能があるのでディクテーションには最適です。
無料でも使えますが、有料版だとさらに便利です。
iPhoneのファイル
ちなみにiPhoneの「ファイル」というアプリも、音声を再生する場合個人的には結構優秀だと思います。
スピードを変えたりはできませんが、音声の波形が視覚的に見えるので、そこをスクロールしながら聞きたいところを繰り返し聞くには使いやすいと思います。
iPad のアプリGoodNotes 5
ディクテーションをする際は、基本的には紙とペンですることをおすすめします。
パソコンで行うよりも、感覚的にパパッと直したり、聞き取れない部分だけ空白を開けたり、というのが感覚的に行えるからです。
ですが、iPadのアプリのGoodNotes5を使っても紙とペンのメリットを享受できます。
しかも、ペンの色を変えるのはワンタッチでできるのでペンを持ちかえるより簡単です。
もちろんわざわざディクテーションのためにiPadを書いましょうなどとは言いません。
すでにお持ちの方にはおすすめです。
著者の経験
最後に僕のディクテーションの経験を少しお話しします。
僕が初めて熱心にディクテーションに取り組むようになったのは、大学院へ進む時にTOEFLが必要でその勉強を始めた時です。
当時は毎日手が痛くなるまでディクテーションを行っていました。
解答し終わったリスニングの問題を全てディクテーションで書き起こしていました。
30〜60分毎日ディクテーションだけはするようにしていました。
始めた頃は、1分の音声をディクテーションして、答え合わせをして納得するまで聞き直すという作業で30分ほどかかっていました。
ですので、30分もディクテーションしたぞーと思っても音声の長さ的に言えば1分の内容ということです。
TOEFLのリスニングは長いもので6分あったりするので、1題全部ディクテーションやるだけでも大変です。
ですが、やっていくうちに効果を実感できたので毎日繰り返していました。
その結果、リスニングは飛躍的に伸びました。
おかげで大学院でも英語で行われる授業にも無事ついていくことができました。
現在
今でも、他の外国語を勉強する際にディクテーションは僕の中で中心的存在です。
仏検や独検を受ける際に勉強していた時も、毎日ディクテーションを欠かさず行っていました。
それくらいおすすめできる方法です。
まとめ
今回の記事ではディクテーションの効果と方法について紹介しました。
ポイントをまとめます。
リスニングのプロセスには
- 音が聞き取れる
- 聞き取れた音から「意味」がわかる
- 意味を繋げて話の全体像、つまりメッセージを理解する
がある。
ディクテーションは最初のステップの「音を正確に聞き取る」スキルを向上させる優れた勉強法。
以上、参考になったら嬉しいです。
それではまたお会いしましょう。
See you next time!
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